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アルコールと肝機能 理解と健康への影響

更新日:11月16日

アルコールの摂取は多くの文化で楽しまれていますが、適度な量を超えると肝臓に深刻な影響を与える可能性があります。今回の浅川クリニックのブログでは、アルコールが肝機能に与える影響と、健康を守るための対策について解説します。



アルコールを我慢する女性


アルコールが肝臓に及ぼす影響


アルコールは肝臓で代謝されるため、過剰な摂取は肝臓に負担をかけ、肝機能障害を引き起こすことがあります。長期的な過剰摂取は、脂肪肝、アルコール性肝炎、そして肝硬変などの深刻な肝臓の病状へと進行する可能性があります。


脂肪肝

アルコールの過剰摂取は肝臓に脂肪が蓄積する原因となります。これは脂肪肝と呼ばれ、初期の段階では逆転可能ですが、放置すると慢性的な健康問題に発展する可能性があります。


アルコール性肝炎

短期間で大量のアルコールを摂取した場合、肝臓の炎症を引き起こすことがあります。これはアルコール性肝炎と呼ばれ、黄疸や腹部膨満感などの症状を引き起こすことがあります。


肝硬変

長期間にわたる過度のアルコール摂取は、肝臓の組織が瘢痕化し硬くなる肝硬変を引き起こすことがあります。肝硬変は肝機能の重大な低下を招き、最終的には命に関わる状態に至ることもあります。多くの場合寝たきりとなる上に起き上がることも困難になります。




アルコールの摂取基準


適度なアルコール摂取の目安は、以下の通りです:


男性

1日に2ドリンク未満

女性

1日に1ドリンク未満


ここで言う「1ドリンク」とは、ビール(350ml)、ワイン(150ml)、蒸留酒(45ml)を指します。1ドリンクは純アルコール10gに相当します。

厚生老労働省の指標では、生活習慣病のリスクを高める量は、4ドリンク(女性2ドリンク)です



アルコールと肝臓


肝機能を示す主要な数値


ALT(旧GPT)

ALTは肝臓細胞内に存在する酵素で、肝臓の細胞が損傷を受けると血液中に放出されます。正常値は通常、男性で10〜40 IU/L、女性で7〜35 IU/Lです。


AST(旧GOT)

ASTも肝臓細胞に存在する酵素で、ALTと同様に肝臓細胞の損傷時に血中に放出されます。ASTは心筋や筋肉など他の組織にも存在するため、ALTとの比較が重要です。正常値は10〜40 IU/Lです。


ビリルビン

ビリルビンは赤血球の正常な分解産物で、肝臓で処理されます。肝機能が低下すると、ビリルビンが血液中に蓄積し、黄疸を引き起こす可能性があります。正常値は総ビリルビンで0.3〜1.2 mg/dLです。


γ-GTP

γ-GTPは、肝臓病だけでなく、胆道系の障害や膵臓疾患など他の健康問題の存在を示す可能性があります。肝臓でアルコールを分解する酵素の一つです。アルコール消費が多い人では、γ-GTPの高値が一般的に多く認められます。血中のγ-GTPが高い場合、肝臓がアルコールやその他の毒素の代謝に忙しいことを示しています。正常値は概ね10〜50 単位/リットル (U/L)です。



休肝日と肝臓


アルコール摂取と肝機能の管理


 アルコールの適量を理解する

一般的に、男性は1日に2ドリンク未満、女性は1ドリンク未満とされています。1ドリンクはビール350ml、ワイン150ml、または蒸留酒45mlと定義されます。

過度のアルコール摂取は脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変、さらには肝癌のリスクを増加させることがあります。


肝機能の定期的な検査

肝機能検査にはALT、AST、ALP、ビリルビン、γ-GTPなどが含まれます。これらの指標は肝臓の状態を反映しています。年に1回の定期健康診断などでの検査が推奨されますが、アルコール消費が多い場合や既に肝疾患がある場合は、より頻繁な検査が必要になることがあります。


休肝日

週に数日はアルコールを全く摂取しない日を設けることで、肝臓に回復の時間を与えます。


バランスの取れた食事

栄養豊富な食事は肝臓の健康を支えます。特に、高脂肪食、高カロリー食の避け、果物、野菜、全粒穀物、良質なタンパク質を多く含む食事を心がけましょう。


定期的な運動

身体活動は肝臓の脂肪を減らし、全体的な健康を向上させます。


医師との連携

アルコール摂取や肝機能に関する疑問や懸念がある場合は、医師や栄養士と相談し、個別の健康状態に合ったアドバイスを受けることが重要です。




ワンポイントアドバイス

本当は飲むのをやめたいのに、お酒がやめられない人は?


お酒を飲むことを本当はやめたいのに、なかなかやめられない状況の方もいらっしゃるかと思います。もしかしたらアルコール依存症に該当する可能性もあります。

アルコール依存症は、アルコールに対する身体的および心理的依存が進行し、日常生活に深刻な影響を及ぼす病状です。この状態は、個人の健康、社会的関係、職業生活に悪影響を与える可能性があります。


WHO(世界保健機関)が簡易的なアルコール依存症のチェックリストを公開しています。

ご興味のある方は下記のボタンを押してみてください。





まとめ


アルコールと肝機能の関係を理解し、適切な摂取量を守ることで、肝臓の健康を保ち、アルコールによる健康リスクを最小限に抑えることが可能です。飲酒の習慣が気になる方は、いつでもご相談ください。浅川クリニックでは個々の健康状態に合わせたアドバイスをさせていただきます。


浅川クリニック 内科・世田谷

〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8






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