フレイル(虚弱)の理解と予防
更新日:11月16日
フレイル(虚弱)は、加齢に伴う身体的、心理的、社会的機能の低下を示す状態を指します。簡単に言うと、加齢により心身が負い衰えた状態です。ご高齢の方に見られるこの状態は、健康問題を増加させ、生活の質の低下や介護が必要になるリスクを高めます。今回の浅川クリニックのブログでは、フレイルの原因、症状、そして予防策について詳しく解説します。
フレイルの原因
フレイルの発生は、複数の要因によって引き起こされます。主な原因としては、栄養不足、運動不足、慢性疾患の存在、社会的孤立が挙げられます。これらの要因は互いに影響を与え合い、身体的および精神的な健康の複合的な低下を引き起こします。
特に他者とのつながりが失われると、外出機会が減り、活動量や様々な刺激が減少し、身体機能も低下しやすくなります。
これらの悪循環が相互に作用しながら(フレイル・サイクル)、転倒や骨折、慢性疾患の悪化などをきっかけとして要介護状態になる可能性を高めます。
フレイルの症状
フレイルの主な症状には以下のようなものがあります。
身体的虚弱
筋力の低下、疲労感、活動レベルの減少。低栄養・口腔機能低下・運動器障害など。
心理的虚弱
意欲の低下、抑うつ症状、認知機能の衰え。軽度認知障害(MCI)やうつ病、認知症など。
社会的虚弱
社交活動の減少、孤立感の増大、社会的サポートの欠如。閉じこもり、孤立、孤食など。
フレイルになるとどうなるか
フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。
また、病気にかかりやすくなったり入院の回数が増えてしまうなどの悪影響があります。
入院を契機にフレイルから寝たきりになってしまうこともあります。
フレイルの診断
次の項目のうち3つ以上当てはまる場合にはフレイル、2つ当てはまる場合にはフレイルの前段階のプレ・フレイルと判断されます。
体重減少
6か月で2㎏以上の(意図しない)体重減少
疲労感
(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度
通常歩行速度<1.0m/秒
筋力低下
握力 男性<28㎏ 女性<18㎏
身体活動
①軽い運動・体操をしているか
②定期的な運動をしているか
上記の2つとも週に1回もしていない場合
フレイルの予防と管理
適切な栄養摂取
高齢者は特に、バランスの取れた食事が必要です。タンパク質、ビタミン、ミネラルを十分に含む食事を心がけ、必要に応じて栄養士のアドバイスを受けましょう。
定期的な運動
軽度から中度の運動は筋力の維持と向上に役立ちます。ウォーキング、水泳、軽い筋トレなどがおすすめです。運動プログラムは、個々の体力に合わせて調整することが重要です。
社会的交流の促進
社会的な活動に参加することで、孤立感を減らし、精神的な健康を支えます。地域の集会や趣味のクラブへの参加が効果的です。
定期的な健康チェック
定期的な健康診断を受け、慢性疾患の管理を徹底しましょう。また、必要に応じて医療やサポートを受けることが大切です。
まとめ
フレイルは必然的な老化の過程ではありません。適切な予防策を講じることで、その進行を遅らせたり、症状を軽減させたりすることが可能です。健康な生活習慣の維持と、定期的な医療の受診が鍵となります。高齢者だけでなく、その家族もフレイルについて理解し、支援することが大切です。フレイルや健康のことでお困りでしたらいつでも浅川クリニックにご相談ください。
浅川クリニック 内科・世田谷
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