ロキソニンを服用する際の注意点
更新日:6 日前
ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種で、痛みや炎症を抑える薬として日本で広く使用されています。頭痛や筋肉痛、関節痛、月経痛など、さまざまな痛みの治療に利用され、処方薬としてだけでなく、市販薬(ロキソニンS)としても手に入るため、非常に身近な薬です。今回の浅川クリニックのブログでは、ロキソニンの効果や使用方法、注意点について解説します。
ロキソニンの効果と用途
痛みの緩和
頭痛、歯痛、月経痛、関節痛、腰痛、神経痛など。
炎症の抑制
手術後やけが後の腫れや炎症を軽減します。
発熱の解熱
高熱の際に体温を下げる効果もあります。
ロキソニンの主成分であるロキソプロフェンは、炎症や痛みを引き起こす物質(プロスタグランジン)の生成を抑えることで作用します。
ロキソニンの副作用
胃腸障害
胃痛、胃もたれ、胃潰瘍などのリスクがあります。特に高齢者や胃が弱い方は注意が必要です。早い方では服用開始から1・2か月以内に胃潰瘍が出現すると言われています。
一般的にロキソニンが処方される際には胃薬を併用されるケースが多いです。ただし、PPI(プロトンポンプ阻害薬)などの強力な胃薬を使ってる場合に腎障害が進行しやすいことが指摘されています。
Ikuta K, et al. BMJ Open. 2021 Feb 15;11(2):e041543.
アレルギー反応
皮膚発疹やかゆみなどの薬疹が出現することがあります。アレルギー反応に伴い喉が浮腫むことで呼吸困難などの症状が現れることがあります。このような場合は直ちに使用を中止し、医師に相談してください。
腎機能への影響
長期間の使用や高用量の服用は、腎臓への負担をかけます。もともと腎機能障害を指摘されている方では禁忌薬となっています。健康な方でも腎機能の悪化の原因になりえます。
心臓・頭への影響
最近アスピリン以外の非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)に重大な副作用「心筋梗塞」「脳血管障害」が追加されました。もちろんロキソニンも含まれます。使用から1週間で発症リスクが上がり、1か月でピークになると言われています。生活習慣病をお持ちの方やご高齢の方では特に注意が必要です。
皮膚への影響
高熱とともに急速に全身に膿疱や赤みが出現することがあります。急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)と言います。近年ロキソニンによる重症の薬疹として注目されています。
ロキソニンの注意点
長期間の使用を避ける
ロキソニンは、急性の痛みや炎症を一時的に緩和する薬です。長期間の使用は胃腸障害や腎臓への負担を増やす可能性があるため、あくまでも必要最低限の使用に留めることが大切です。
飲み合わせに注意
他のNSAIDsやアスピリン、抗凝固薬、ステロイド薬との併用は、胃腸障害や出血のリスクを高めるため、注意が必要です。複数の薬を服用されている方も注意してください。
妊娠中や授乳中の使用
妊娠後期や授乳中の使用は避けなければいけません。妊娠中の方は、必ず医師に相談してください。
インフルエンザの際は使用注意
インフルエンザにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬:ロキソニンを含む)を使用することが原因で、ライ症候群が発生する可能性があります。ライ症候群は、急性脳症、肝臓の異常(脂肪肝)、意識障害、けいれんなど重篤な症状が出現します。子どもや10代の若年者で特にリスクが高くなります。
ワンポイントアドバイス
ロキソニンは日本だけ?海外では?
ロキソニンは、日本の製薬会社で開発されました。日本以外ではメキシコ、ブラジルで使用されているようです。一方、欧米諸国ではロキソニンは一般的に使用されておらず、代わりにイブプロフェンやアセトアミノフェンなどの鎮痛剤が広く用いられています。欧米ではこれらの薬がドラッグストアで日本より比較的高用量で発売されています。体格や人種のか違いから薬剤の用法・用量も日本とは異なります。
まとめ
ロキソニンは、痛みや炎症を効果的に抑える薬として広く利用されていますが、正しい使い方を守らなければ副作用のリスクがあります。使用前には必ず医師や薬剤師に相談し、適切な用量で使用することが大切です。特に市販薬を使用する場合は、自己判断での長期間の使用を避け、症状が続く場合は診察を受けるようにしましょう。
健康的な日常生活を送るためにも、薬の適切な利用を心がけましょう!
浅川クリニック 内科・世田谷
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