大人のリンゴ病について 子どもだけの病気ではありません
- 貴介 浅川
- 1月31日
- 読了時間: 4分
最近、関東地方を中心に「リンゴ病」(伝染性紅斑)の感染が拡大し、各自治体が警報を発令しています。特に東京都では、1月の1医療機関あたりの患者報告数が2.43人となり、6年ぶりに警報基準を超えています。リンゴ病は、主に子どもが感染することで知られていますが、大人も感染する可能性があります。特に妊婦さんが感染すると、胎児に影響を及ぼすリスクがあるため、注意が必要です。今回の浅川クリニックのブログでは、大人のリンゴ病について、症状、原因、治療法、予防策を詳しく解説します。

リンゴ病とは?
リンゴ病は、「ヒトパルボウイルスB19」によって引き起こされるウイルス性の感染症です。子どもの場合、頬が赤くなる特徴的な症状から「リンゴ病」と呼ばれています。一方、大人ではこの赤みが現れない場合も多く、症状が見逃されがちです。
大人のリンゴ病の症状
関節痛や関節炎
特に手指や膝、足首の関節が痛みや腫れを伴うことがあります。これはリンゴ病特有の症状で、大人では約50%の患者に見られます。
微熱や全身倦怠感
子どもと同様に、発熱や体のだるさが見られることがありますが、大人ではこれが主要な症状となることがあります。長い人では数週間持続します。
皮膚症状の有無
子どもで見られる頬の赤みや体の発疹が現れないことが多いですが、稀に手足に網目状の発疹が出る場合があります。
重症化のリスク
妊娠中の女性や免疫力が低下している人では、貧血が進行したり、胎児に影響を与える可能性があります。時に流産の原因にもなります。
感染経路
飛沫感染
咳やくしゃみを介して感染します。
接触感染
感染者が触れた物や体液に接触することで感染する可能性があります。
ウイルスは潜伏期間(4~14日)を経て症状が現れるため、感染源が特定しにくいことがあります。
診断と治療法
診断
診断は主に症状や病歴から行われますが、必要に応じて血液検査でパルボウイルスB19の抗体を調べることができます。
治療
リンゴ病の特効薬はありません。症状を緩和する対症療法が中心です。関節痛が強い場合、鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)が使用されます。発熱や倦怠感に対しては十分な水分補給と安静が大切です。

大人のリンゴ病の注意点
妊婦への感染
妊娠中にリンゴ病に感染すると、胎児水腫や流産のリスクが増加する可能性があります。妊婦は特に感染者との接触を避けることが重要です。
免疫力低下のある人
重症化する可能性があり、早期診断と治療が必要です。
溶血性貧血のある人
赤芽球癆と呼ばれる重症貧血になる恐れがあります。
職場での感染予防
学校や保育施設で働く大人は感染リスクが高い可能性があるため、手洗いやマスク着用などの予防策を徹底しましょう。ちなみに子供の学校保健法では、伝染性紅斑(りんご病)が「第三種の伝染病」の「その他の伝染病」に区分されており、発疹のみで全身状態がよい場合は登校が可能です。知らない間に大人も罹りえます。
手洗いの徹底
外出後や食事前後に石鹸で手を洗う習慣をつけましょう。
感染者との接触を避ける
感染が疑われる人との濃厚接触を避けることが大切です。
免疫力の向上
バランスの取れた食事や十分な睡眠を心掛け、免疫力を高めましょう。
ワンポイントアドバイス
リンゴ病は生涯一度だけ?
リンゴ病は一度感染したら2度となりません。 ヒトパルボウイルスB19に対して終生免疫ができるからです。その代わり大人が初めてかかった時は重い症状になります。
まとめ
リンゴ病は子どもだけでなく、大人にも感染する病気です。大人の場合、関節痛などの症状が現れやすく、見過ごされることがあります。特に妊娠中の女性や免疫力が低下している方は注意が必要です。感染予防の基本である手洗いやマスク着用を徹底し、症状が気になる場合は早めに医療機関を受診してください。正しい知識と対策で、リンゴ病から身を守りましょう。
浅川クリニック 内科・世田谷
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