紫外線 健康への影響について
更新日:11月16日
紫外線(UV)は、太陽光の一部であり、私たちの健康にとって重要な役割を果たしますが、過剰に曝露すると様々な健康問題を引き起こすことがあります。今回の浅川クリニックのブログでは、紫外線の利点とリスク、そして適切な対策について説明します。
紫外線とは?
紫外線(UV)は太陽光の一部で、可視光線よりも波長が短く、人の目には見えません。紫外線は波長によってUVA、UVB、UVCの三種類に分類されます。地球に到達する紫外線の大部分はUVAとUVBです。日本国内での紫外線量は暑い6月から9月に特に多くなります。
地域によって紫外線量も異なり、沖縄では北海道の2倍近くの紫外線照射量があります。
紫外線を浴びるメリット
ビタミンDの生成
紫外線B(UVB)は皮膚に浸透し、そこでビタミンDの生成を促します。ビタミンDは骨の健康を支えるだけでなく、免疫システムの機能向上、心臓病などの疾患のリスク低減に寄与するとされています。
気分の向上
日光に曝露することは、セロトニンという神経伝達物質のレベルを高めることが知られています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分を向上させ、抑うつ症状を軽減する効果があります。
睡眠の質の改善
朝の日光を浴びることは、体内時計を調整し、メラトニンの生成を助けることができます。これにより、夜間の睡眠の質が向上し、より休息を得ることができます。
皮膚状態の改善
適度な紫外線の露出は、一部の皮膚状態、特に乾癬の症状を改善するのに役立つことがあります。UV光線は皮膚の細胞の成長を調節し、炎症を軽減します。
紫外線を浴びるデメリット
皮膚がんのリスク増加
紫外線は皮膚のDNAにダメージを与えることがあり、このダメージが積み重なると皮膚がんのリスクが高まります。特に、悪性黒色腫と非悪性黒色腫の皮膚がんが紫外線と関連が深いとされています。
早期老化
紫外線の過剰な露出は皮膚の老化を加速させる原因となります。これにより、しわやシミ、たるみなどの皮膚老化の兆候が早く現れることがあります。
免疫機能の低下
紫外線は体の免疫システムに影響を与えることがあり、感染症への抵抗力が低下することが示されています。これにより、様々な病気にかかりやすくなる可能性があります。
目の健康への悪影響
過剰な紫外線露出は、白内障や角膜炎など、目の健康問題を引き起こすことがあります。長期的な影響として、黄斑変性症や翼状片など、視力低下に繋がることも懸念されます。
紫外線対策
日焼け止めの使用
SPF(Sun Protection Factor)30以上の日焼け止めを選び、UVBだけでなくUVAからも保護する広域スペクトルタイプのものを使用します。外出の30分前に適切な量を全身に塗り、2〜3時間ごと、または水泳や汗をかいた後には再塗布します。
適切な衣服の着用
長袖シャツ、長ズボン、広ご回りの帽子を着用して直接日光にさらされる肌の面積を減らします。UV保護機能がある衣服を選ぶと更に効果的です。
サングラスの着用
目とその周囲の皮膚を保護するために、100%のUVカット機能があるサングラスを着用します。これにより、白内障やその他の目の病気のリスクを低減できます。
日陰の利用
日中の10時から16時までの間は紫外線が最も強いため、この時間帯は極力日陰を利用するか屋内に留まることが望ましいです。
日傘の利用
外出時に日傘を使用することで、直接的な日光を遮り、紫外線から肌を保護する助けになります。
食事
紫外線を浴びると活性酸素が体内で増加します。活性酸素の攻撃力を低くするために、抗酸化成分を含む食材を多くとることを考える必要があります。ビタミン群(特にビタミンC)やポリフェノール・β‐カロテンを多く含む野菜や果物などが適しています。
ワンポントアドバイス
日焼けマシンの紫外線は?
太陽からの自然光と日焼けマシンの紫外線は、波長の構成や強度、影響において明確に異なります。
自然光の紫外線
紫外線A(UVA)、紫外線B(UVB)、ごく少量の紫外線C(UVC)を含んでいます。地球の大気層はほとんどのUVCと一部のUVBを吸収しますが、UVAと一部のUVBは地表に到達します。自然光の紫外線は季節、時間帯、地理的な位置によって異なります。
日焼けマシンの紫外線
日焼けマシンは主にUVAを大量に放出し、一部のマシンではUVBも放出しますが、その比率は自然光とは異なります。日焼けマシンの紫外線は非常に強力で、自然光に比べて皮膚に与える影響が強いとされています。
強度と露出量
日焼けマシンからの紫外線は、自然光の紫外線よりもはるかに集中的で、露出量も制御されています。短時間で強い紫外線にさらされることが、特に皮膚がんのリスクを高めるとされています。
健康への影響
自然光には健康へのメリットがありますが、適度に露出することが重要です。一方、日焼けマシンを利用した紫外線露出は、特に皮膚がんのリスク増加や早期老化といった悪影響が強調されています。
日焼けマシンの使用は医学界から多くの懸念が示されており、そのリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが勧められています。
まとめ
紫外線にはその利点とリスクがありますが、適切な予防策を講じることで健康を守りながら、日光の恩恵を受けることが可能です。外出時には日焼け止めの使用を心がけ、紫外線のリスクを管理しましょう。
浅川クリニック 内科・世田谷
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