膀胱炎について知っておくべきこと
更新日：6 日前
膀胱炎は、膀胱内の細菌感染によって引き起こされる一般的な疾患です。この症状は女性によく見られますが、男性や子供にも影響を及ぼすことがあります。膀胱炎について正しい知識を持ち、早期に対処することが重要です。
膀胱炎の症状
頻尿
一日に何度もトイレに行く必要があります。
排尿時の痛みや刺激感
尿が出る際に痛みや灼熱感を感じることがあります。
残尿感
トイレを済ませた後でも、まだ尿が残っている感覚があります。
尿の濁りや異臭
尿が濁っていたり、異臭を放つことがあります。
腰や恥骨周辺の痛み
下腹部や恥骨周辺に不快感や痛みを感じることがあります。
※発熱をしている場合にはバイ菌が膀胱より上（尿管や腎臓）にまで及んでいることが多く、より高度な精査・治療が必要になります。
膀胱炎の原因
膀胱炎の主な原因は、膀胱に細菌が侵入して感染が引き起こされることです。一般的な原因には、次のようなものがあります
腟内細菌の移行
女性は腟内の細菌が尿道に移行しやすいため、膀胱炎になりやすい傾向があります。
尿路閉塞
尿管結石など尿路に何らかの障害があると、尿の排出がうまくいかず、細菌が増殖しやすくなります。
不適切な衛生状態
トイレの使用後や性交後に適切な清潔を保たないと、細菌の繁殖が促進されます。
膀胱炎の治療
膀胱炎は細菌感染によって引き起こされるため、一般的には抗生物質が処方されます。医師は患者の症状や感染の原因に応じて適切な抗生物質を選択します。処方された抗生物質は、指示通りに正確に服用することが重要です。通常、症状が改善しても、抗生物質を処方された期間分は必ず服用する必要があります。
症状の緩和
膀胱炎には痛みや排尿時の不快感が伴うことがあります。これらの症状を和らげるために、痛み止めや解熱剤を処方することがあります。また、お風呂にゆっくり浸かることや、熱い湿布を腰に当てることで、症状を軽減することができます。
水分摂取の増加
膀胱炎の治療中は、十分な水分を摂取することが重要です。水分を十分に摂取することで、尿の排出が促進され、膀胱内の細菌が排除されやすくなります。
適切な生活習慣の確立
膀胱炎の治療後は、適切な生活習慣を確立することが重要です。これには、適切なトイレの使用方法や、性行為後の清潔な習慣の確立が含まれます。
膀胱炎の予防
適切な衛生習慣の確立
トイレの使用後や性行為後には、適切な清潔を保つことが非常に重要です。特に女性は、性行為後に排尿することで、膀胱炎のリスクを減らすことができます。
水分摂取の増加
十分な水分を摂取することで、尿の流れが促進され、膀胱内の細菌が排出されやすくなります。一般的には1日に約8杯の水を飲むことが推奨されますが、個々の体格や活動量に応じて調整することが重要です。
排尿の習慣化
長時間尿を溜めることは膀胱に負担をかけ、細菌の増殖を促進します。排尿を我慢せず、必要な時に適切にトイレに行く習慣を身につけることが予防に役立ちます。
適切なトイレの使用
トイレの使用後に、適切な方法で清潔を保つことが重要です。正しい拭き方や手洗いを行い、細菌の感染を防ぎます。
適切な衣服の選択
締め付けの強い下着や通気性の悪い衣服は、湿気を溜めやすく、膀胱炎のリスクを高めることがあります。通気性の良い綿素材の下着を選ぶことで、蒸れを防ぎます。
ワンポイントアドバイス
クランベリージュースと膀胱炎の関係
クランベリージュースの繰り返す慢性尿路感染症の発症予防効果が再注目されつつあります。一般的に、クランベリージュースは膀胱炎の予防や治療に役立つと言われていますが、その効果には限界があります。
抗菌作用
クランベリージュースに含まれる成分が、膀胱内の細菌の付着を防ぐとされています。これにより、細菌が膀胱の壁に付着しにくくなり、膀胱炎の発症リスクが低減する可能性があります。
尿路感染予防
クランベリージュースが尿中の細菌の付着を防ぐため、尿路感染の予防に効果があるとされています。特に再発性の膀胱炎を持つ人々にとって、クランベリージュースは有益であるとされています。
炎症の軽減
クランベリージュースに含まれる抗酸化物質やポリフェノールは、炎症を軽減する効果があるとされています。これにより、膀胱炎の症状を軽減することができます。
クランベリージュースの注意点と限界
効果の個人差
クランベリージュースの効果は個人差があります。すべての人に効果があるわけではなく、効果を感じる人と感じない人がいます。
砂糖や添加物
一部の市販のクランベリージュースには砂糖や添加物が含まれている場合があります。これらの成分は、膀胱炎の治療や予防には望ましくありません。
医師の指示に従う
クランベリージュースを利用する場合でも、医師の指示に従うことが重要です。クランベリージュースはあくまで補助的な役割を果たすものであり、抗生物質などの医師が処方する治療と併用することが推奨されます。
総括すると、クランベリージュースは膀胱炎の予防や治療に一定の効果があるとされていますが、効果には個人差があり、医師の指示に従って適切に利用することが重要です。個人的には原因不明の再発性膀胱炎を来す場合には一度くらい試してみる価値はあると思います。
【参考文献】Cibele Barbosa－Cesnik,et al ： Cranberry Juice Fails to Prevent Recurrent Urinary Tract lnfection ： Results From a Randomized Placebo－Controlled Trial.Clinical lnfectious Diseases 2011； 52 （1）： 23－30
まとめ
膀胱炎は痛みや不快感を引き起こすだけでなく、放置するとより深刻な合併症を引き起こす可能性があります。したがって、膀胱炎の症状が現れた場合には、早めに医師の診察を受けることが重要です。
浅川クリニック 内科・世田谷
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷１丁目３−８
Comments