6月14日

鉄欠乏性貧血　女性の健康に潜むサイレントリスク

更新日：6 日前

鉄欠乏性貧血は、女性の健康に影響を及ぼす一般的な問題の一つです。この状態は、体内の鉄分が不足し、結果として赤血球の形成や酸素の運搬が十分に行われなくなることで生じます。特に生理による血液の損失や妊娠中の鉄需要増加など、女性は鉄分の不足によるリスクが高まります。今回のコラムでは、鉄欠乏性貧血に関する詳細を解説します。

鉄欠乏性貧血の原因

食事における鉄分不足

鉄分は赤身の肉、魚介類、豆類、ほうれん草などに多く含まれています。これらの食品を摂取しないか、十分な量を摂取しない場合、鉄分が不足し、貧血の原因となります。

吸収障害

腸の吸収障害や胃腸の疾患などが存在する場合、十分な鉄分を吸収できなくなることがあります。

生理的な血液損失

生理期間中に女性が失う血液量が多い場合、鉄分の消耗が生じることがあります。これが繰り返し起こると、鉄欠乏性貧血が発症する可能性が高まります。

妊娠

妊娠中には胎児や母体の成長に必要な鉄分の需要が増加します。妊娠中に鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血が生じるリスクが高まります。

出血

事故や外傷による大量出血、または消化器系の出血など、体内の出血が生じると鉄分が失われ、鉄欠乏性貧血が発症する可能性があります。

鉄欠乏性貧血の症状

疲労感と倦怠感

鉄分は体内で酸素を運搬するために必要です。鉄欠乏性貧血の場合、体内の酸素供給が不足し、疲れやすくなります。日常の活動に対する疲労感や倦怠感が顕著になります。

めまいや頭痛

鉄分の不足によって、脳に酸素が十分に供給されなくなるため、めまいや頭痛が生じることがあります。立ち上がったり急な動作をすると、めまいを感じることがあります。

蒼白な肌色

鉄欠乏性貧血の人は、皮膚が蒼白になることがあります。これは、血液中のヘモグロビン量が低下し、肌の血色が悪くなるためです。

息切れや心臓の動悸

鉄欠乏性貧血の場合、酸素供給が不十分なため、呼吸が浅くなり、息切れや心臓の動悸を感じることがあります。

爪や口内の変化

貧血が進行すると、爪がもろくなったり、口内に潰瘍ができたりすることがあります。

鉄欠乏性貧血の管理と予防

バランスの取れた食事

鉄分を豊富に含む食品をバランスよく摂取することが重要です。赤身の肉、鶏肉、魚介類、豆類、ほうれん草などの鉄分を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。また、ビタミンCを含む食品と一緒に摂ると、鉄分の吸収が促進されます。

鉄剤の摂取

食事からの鉄分摂取が不十分な場合、医師の指示に従って鉄剤を摂取することが推奨されます。ただし、鉄剤の過剰摂取は消化器系のトラブルを引き起こす場合があるため、医師の指示に従って適切な量を摂取しましょう。

血液検査の定期的な受診

健康診断や定期健康診察で血液検査を受け、貧血の有無や鉄分の状態を確認しましょう。早期に問題を発見し、適切な対策を取ることが大切です。

生理的な血液損失への対策

生理期間中に鉄分を失う女性は、鉄分を補うための食事やサプリメントを摂取することが役立ちます。また、月経カップや生理用品の適切な使用、適度な運動やストレス管理なども血液損失を軽減するのに役立ちます。

妊娠中の適切な栄養管理

妊娠中は胎児の成長に必要な鉄分の需要が増加します。妊娠初期から鉄分を含む食品を積極的に摂取し、必要に応じて医師の指示に従って鉄剤を摂取しましょう。

ワンポイントアドバイス①

氷を大量にガリガリ食べる人

暑い時はかき氷などを食べたくなるものです。ただし、1年中氷を食べている人は実は鉄欠乏性貧血が隠れているかもしれません。氷を毎日数か月にわたって大量に食べている場合医学的に『氷食症』と呼ばれています。原因ははっきりしないものの鉄欠乏性貧血の患者さんでよくみられる現象です。鉄不足で自律神経が乱れ、体温調整機能に異常をきたすことも原因ではないかと言われています。

ワンポイントアドバイス②

鉄欠乏がメンタルに影響する？

鉄欠乏は、メンタルヘルスに大きな影響を及ぼす可能性があります。研究によると、鉄は脳内の重要な神経伝達物質であるセロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリンの生成に必要です。これらの神経伝達物質は、気分や不安、認知機能に関与しており、鉄欠乏がこれらのレベルを低下させることで、うつ病や不安障害、認知障害のリスクが増加する可能性があります。

さらに、鉄欠乏は疲労や倦怠感を引き起こし、これがさらにメンタルヘルスに悪影響を与えることがあります。鉄不足の人々が鉄のサプリメントを摂取することで、気分や認知機能の改善が報告されています。メンタルヘルスの症状がある場合は、鉄レベルの検査を受け、必要に応じて鉄を補給することが推奨されます。